葉

深良用水隧道に入る〜その4
参加 2008年8月10日   
 
深良側坑門へ
 隧道の外では、曇り空の柔らかな日差しが待っていました。



両側の擁壁を見ると緑色のコケによって下半分が着色されており、普段の水面がどこまであるか、はっきりと見て取ることができました。



これは流れてきた流木などを引き上げる設備です。今日は流れてきたブラックバスが下流の河川に入り込まないように、事前にここで捕獲が行われたそうです。



小さなアーチをくぐって外に出ます。もっと写真を撮っていたかったのですが、上から見ていた管理人さんに促されたので、しかたなく退場しました。



出る前にもう一枚、撮影しました。普段の水深は1m強というところでしょうか。ここを出ることに対し、名残惜しい思いでいっぱいでした。



深良用水之碑
 ここ深良側の坑門には、「深良用水之碑」があります。私個人だけでは、この石碑を訪ねて用水の出口を見ることだけしかできなかったでしょう。今回の参加許可をいただいたことに対しては、感謝の極みであります。



隧道の空気孔を見に行く
 さて、私がその存在を知った時からぜひ行きたいと思っていた、用水隧道の空気孔に案内していただくことができました。

 用水之碑から少し上の山肌に分け入っていきます。



杉林の中の小道を上っていきます。



 5分も歩かないうちに、案内者K氏の足が止まりました。その先には朽ちた板の囲いがあり、中に石垣が組まれた竪坑がありました。これが深良用水隧道の深良側空気孔です。



空気孔の入口は、人が一人屈んで入れるくらいの大きさです。




               空気孔に入るK氏

富士山のレリーフあり
 ここでK氏が説明をしてくださいました。入口の石の一部に、当時の人夫が彫ったと思われる富士山の浮き彫りレリーフがあるというのです。



ここは霊峰富士のすぐ近くです。工事の安全を富士山に祈願し、いつまでも守ってほしいと願い、ここにその富士山の形を彫ったのではないか、ということです。



石工の遊び心か霊峰富士への信仰心か…。鉱山にはよく主坑道の入口に山神様を祭る石祠を置くことがありますが、この富士山のレリーフは、あるいは隧道の守り神として彫られたのかもしれません。



 さて、空気孔には入ることができるのでしょうか。一人、少し奥まで入ってみました。奥にはトラロープが見えましたが、どうも傾斜はきついし穴は狭いしで、普通に入るのは困難と思われました。当時、この竪穴を掘るのも大変だったことでしょう。



 空気孔はもう一つ、箱根側にもあるそうですが、現在は表面が埋もれているらしく、見つけられていないそうです。文明の利器、GPSを持って探索すれば、見つかるかもしれませんね。トライしてみますか?
 それにしても、私が用水隧道に入っている時、空気の流れを感じた空気孔は2つだけではありませんでした。それ以上の穴の存在を感じたのです。それとも、1つの竪穴が途中で分岐して2つ以上の空気孔になっているのでしょうか。詳細な資料を見たいものです。

帰路に着く
 空気孔の見学を終え、待っていた人たちの着替えも終わったので、帰路に着くことになりました。しかし私はまだ濡れたズボンのままです。ここの見学会に連れてきてくださったA野氏が気遣って、バスのシートに敷くビニール袋を貸してくださいました。ありがとうです。



途中、車窓から用水の流れる川を見ました。今はまだ堰き止められているため、普段の水面の高さが護岸に見られました。




   「深良用水隧道に入る〜その5(史跡編)」に続く

                                             
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