葉

深良用水隧道に入る〜その5(史跡編)
参加 2008年8月10日   
 
深良の石仏巡りへ
 バスは無事に深良コミュニティセンターに着きました。主催のK氏には厚くお礼を述べ、皆さんと別れました。

 ここからは、A野氏のご厚意により、付近の史跡や石造物の見学に連れて行っていただきました。下の画像のように、旧道の辻などに庚申塔や道祖神が祀られています。何とも風情のある風景ではありませんか。



深良コミュセンの近くに、このような案内板がありました。機会があれば裾野市の史跡・石造物巡りを一日かけてじっくり見てみたいものです。



冒頭の旧道と並行して流れる川は、もちろん深良用水の水を引いています。



そしてこのような水門が設けられています。水門は深良水系で四十余門あるそうです。



詳しい案内資料を手に入れるために、裾野市民文化会館にある市立図書館の分室へ行きました。



担当の方々は忙しい中にも関わらず、私たちの行きたいところを地図で調べてくださるなど、大変よくしてくださいました。感謝、感謝でございます。



この日、市民文化会館大ホールでは、県の中学校吹奏楽コンクールが行われていました。曇り空の下で集合写真を撮る子ども達が並ぶ場所は、そこだけが華やいでいるように見えました。



古道とお堂、そして双体道祖神
 この裾野市民文化会館には私も時々研修会のために来ることがあるのですが、その度に気になることがありました。文化会館の前を通る道は旧国道246号線なのですが、その一本東の細い道が、すごく“道のオーラ”を発しているのです。ですから、(あれはきっと旧旧道だろう。いつか歩いてみたいものだ)と思っていたのです。



そこで、まずこの積年の思いを果たすため、文化会館近くの道へ行ってみました。すると、そこは図書館でいただいた資料にあった“甲州街道が100mほど残っている”という言葉と写真の場所そのものではありませんか!



私が道や石仏の写真を撮っていると、何事かと、お堂から男性が顔を出し、ここが甲州街道であったことなどを教えてくださいました。

私が気にしていた道はまさに古道であり、甲府と三島とを結んでいた甲州街道であったのです。感無量でありました。訪ねてきてよかった・・・。



お堂は、観音堂でした。ちょうどこの日は年に4回ある観音様のお祭りの日で、近所の善男善女が中で盛り上がっていました。



やがて中から顔を赤くした男性が出てきて、道の説明をしてくれました。甲州街道はこの辻の南100mと、北に20mほど残っているそうです。



なぜか顔を黒く塗られた双対道祖神に、しなびた瓜があげられていました。



甲州街道と道標銘
 改めてよく見てみますと、お堂の前に「右ハ むらみち 左ハ 甲州みち」という文久年間の道標銘が立っていました。お地蔵様と言うにはあまりに可愛いお顔をしておられます。



深良道祖神巡り
 甲州街道を見学することができ、胸がいっぱいの私を、A野氏はさらにいざなって石造物巡りへと連れて行ってくれました。深良の町にはあちこちの道祖神があり、人々の生活を静かに見つめているのでした。











 この日はほかにもお堂でお祭りが行われていました。これは慈眼庵という観音堂です。伊豆では、庚申堂や地蔵堂などはなくなって地名に残るだけになっている例が多いのですが、深良では地域に溶け込んで利用されているお堂がまだ多いようです。





大庭源之丞の墓所へ
 深良用水隧道が完成して稲作に利用されるようになったことは一大事業の成功の賜でした。しかし計画通りの収穫量はなく、大庭源之丞も友野与右衛門も、晩年はどのようになったか知られていないそうです。一説によると、幕府によって暗殺されたとか…。

しかし大庭源之丞の墓はちゃんとあるのです。





案内板が立てかけてある墓石が、大庭源之丞の墓です。深良用水によって潤された田畑を見下ろす丘の上に静かに立っていました。



芦ノ湖水神社を訪ねる
 この探訪の終わりは、芦ノ湖の水を祀った芦ノ湖水神社です。裾野市ではなく、駿東郡長泉町の一角にあります。ここもぜひ来たかったところの一つです。でも場所が分かりにくいので、一人では来ることは難しかったでしょう。今日は本当によい日になりました。









 今年の夏は仕事の都合で例年になく忙しかったのですが、深良用水隧道の姿をこの目で確かめるという、まれに見る体験をすることができ、素晴らしい夏休みとなりました。また、これと前後して東京で江戸時代からの史跡を訪ねることもでき、自分としては江戸への関心を高めた夏となりました。まだまだ知りたいことはたくさんあります。古道が連れて行ってくれた古い時代は、私を魅了して止みません。

最後に、Special thanks! A野さま! 感謝の気持ちを心よりお贈りします。
                                        
                                             
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