葉

青野道を探索する〜その一
探索2006年4月22日   
 
 古道探索をしていてずっと私の心に引っかかっていたルート。それは、下田市の加増野から南伊豆町の青野に通じる「青野道」の探索です。
 こちらは地理に疎く、また山も広範囲で道もいくつかが並行したり分岐したりしているので、躊躇っていたのです。が、前回、馬夫石にたどり着き、周囲の尾根も少し歩けたので、次はいよいよ青野道を踏破したいと思っていました。

 と、そこへKAZUさんから「青野道を歩きましょう。」との書き込みが。それに先だって、この地の探索に先鞭をつけたらいおんさんも、馬夫石からゴルフ場をかすめて加増野まで下りるルートを確定されたページをサイトにアップされました。こ、これはもう行くしかない! 

 午前6時30分。落合の浄水場でKAZUさんと待ち合わせ。ご挨拶もそこそこに、とりあえず加増野のゴルフ場入り口に向かうことにしました。と、車を走らせていて、まず失敗。お誘いしてあったらいおんさんちの前を通る時、いつもの場所にハイラ君の姿がないので、(あれれ? どこかに出かけられたのかな?)と思って、軽くクラクションを鳴らし、通過しました。が、ハイラ君は、母屋側のスペースに停められていたのでした。停止してご挨拶すればよかった…。

青野道入り口
 特別養護老人ホーム「梓の里」近くで県道をゴルフ場の方に左折し、お互いの車を停めて打ち合わせです。と、そこに颯爽と現れたのは、らいおんさんのハイラ君。 あっれえ!? らいおんさんは、GPSを持ってきて、私たちに貸与してくださいました。追いかけてきてくれたのね。ごめんなさい。私がご自宅に寄ればよかったです…。


    ハイラ君かっこいい! どこへでも走って行っちゃう感じです

 ここでGPSの扱い方についてのレクチャーを受け、KAZUさんの車を置いて、私の車で猪戸鉱山へ向かいました。

いざ鉱山跡から
 私にとって、猪戸鉱山跡は初めて来る場所です。おお、こういう所だったんですね。蓮台寺鉱山とは違って規模は極小さく、こぢんまりとしています。でも別荘地との分岐点から既に坑口があるというので、見てみました。確かにそこには川の向こうに黒い穴がぽっかり口を開けていました。


  別荘地との分岐近くにある坑口 川向こうにあるので、今回は入りませんでした

鉱山事務所を出発
 「猪戸鉱山」の2本の看板を越えると、そこはすぐに事務所があります。きれいな方の建物の中を覗くと、テーブルや湯沸かし器、事務机等が見えます壁には神棚が。そして近くにはなぜか廃車群があり、その間に鉱石を運んだらしき無蓋車が放置されています。


  車窓からパチリ 売鉱専門の施設なので、選鉱場はないそうです


       この廃車群がなぜあるのか不思議です

 「ここを右に行くと、道は二手に分かれていて変則五差路へ行き、左に行くと、鉱山跡を通ってやはり五差路へ行きます。」とKAZUさんが説明してくれます。うーん、私には初めての道。いろいろルートや分岐がありそうですね。1人で来ていたら、色々な意味で何度も回り道をしそうです。

歩き出す
 事務所脇の道ではなく、廃車放置地帯の前を通って登る道に入ります。道幅が広いのでKAZUさんに尋ねますと、鉱山のクローラだったのではないかと仰る。そっかあ、では、いつかHPでみたあのズリ跡へはここを行くんですね。ちょっと期待がふくらみました。


   流水によって道が削られています

春の息吹
 あたりは山々の木立に囲まれ、野鳥の声がさえずっています。これこれ、これです。私は春の新緑が大好きなんです。命の萌芽というかエネルギーが満ちあふれる感じがするでしょ? すでに心臓バクバクで足取りは重いのですが、気持ちはうきうきでした。

こ、これはズリ捨て場 そしてレール
 ほぼ直登するコンクリ道を登っていきますと、右手に荒れた山肌が露出している地点に達しました。これがズリ捨て場の跡でしょうか。


     これは、見まごうことなきズリ捨て場


         レールだあ!

 足取りも軽く先を進むKAZUさんにちょっと待っていただいて、その上の作業所を探ってみました。
 薮が生い茂っていますが、ここはまごうことなき鉱山作業地の跡です。放置された作業小屋、錆びたレール、変電施設、そして坑口…。稼働を止めたのは何年前かは分かりませんが、猪戸鉱山には時の流れが静かに廃墟としての変化をもたらしていたのでした。
 と、私がふらふらと錆びたレールに導かれるように歩いていきますと、KAZUさんが「そちらはズリ捨て場しかないですよ。」と知らせてくれました。その言葉にはっと我に返った私。なんだか廃墟の持つ魔力に魅せられてしまったようです。

(では、しばし猪戸鉱山の様子をご覧ください。いずれは削除必至ね)




分岐を経て間もなく稜線へ
 「ここを左に行くと、馬夫石近くの稜線にでます。」とKAZUさんが示します。らいおんさんはここを行かれたそう。らいおんさんもKAZUさんもすでに何度もこの辺りを歩かれたそうです。となりますと、らいおんさんを無理に誘ってはいけなかったのですね。KAZUさんもこんな私を連れて行ってくれて…。おんぶに抱っこの私でした。


  らいにょんさんはここを左に行かれたそう


   ふうふう言いながらついていこうとするのですが…、ダメな私

変則五差路
 食べるとかなり強烈な味のする山菜「しどけ」が生えている山道を踏みしめ、ふうふういいながら登りますと、ようやく稜線に出ました。


知る人ぞ知る山菜「しどけ」 旬の里でも売っていました

 ここは地図上でも五方から道が集結している地点です。送電線の鉄塔の保守道になっているので手入れがされており、踏み跡が明白で、歩きやすいです。それぞれ、松崎町の八木山方面に1本、鉱山方面に3本、馬夫石方面に延びています。


  立体的に交差する変則五差路 松崎町への峠にもなっています

鉄塔を訪ねて
 ここから青野方面へは、いくつかの送電鉄塔が立っています。その保守道としての機能を持たされているお陰で、今歩いている道がしっかりしているというのは、ある意味ありがたいことであります。
 それにしていもKAZUさんはかつて1人で何度もこの辺りを探索されたとのこと。枝道やその先の様子に詳しいです。うーん、負けています、私。


      歩きやすい道です 電力会社さんのお陰?


   こんなところにこんな建造物が… ありがたい事です


   富士山のビューポイントとのことなので、カメラをズームしてみます


  中央が婆娑羅山で、その向こう左が長九郎山とのことです


       ここで富士山が見られるとは…。いつ見てもいいですねえ。

馬夫石再び
 「ここを真っ直ぐ登ると馬夫石ですよ。」との声にふと前方を見上げますと、こんもりした山景にそれらしき面影が見えます。懸案だった馬夫石…。再び私はやってきたのです。

 ま、この前行ったから今回はパスしましょう、ということで、そのまま迂回路を進みました。


 右正面に直登すると馬夫石に至ります

ここが「三方」
 かつて私が加増野の古老(道歩きが大変好きな、元気なおじいさんです)にお話を聞いた時、加増野から青野や一条に抜ける時は「三方」という峠を越えると言うことでした。三つの方向に道が開けている地点ということから名付けられたようなのですが、なにぶんにも地図を見ながら話を伺ったわけではないので、その地点を特定できずにいました。もしかしたら変則五差路をそこかと思っていたのです。

 KAZUさんもその話をきちんと受け止めていてくれて、馬夫石の脇にある三叉路がその「三方」ではないかと提言してくれました。そう加増野から青野や一条に抜けるには、わざわざ五差路の方に行く必要はないのです。この地点で加増野から登って分岐すればよいのですから。

お地蔵様の向きに秘められた秘密
 このサイト関係では最初にらいにょんさんが報告をしてくださった、このお地蔵様。
どうして加増野側を向いているのかと思っていたのですが、KAZUさんのご教示を得て、謎が解けました。
 ここは青野と一条の分岐点になっており、その道はお地蔵様の眼前をぐるりと巻くようにして南東に下りているのです。それを一条から登ってきた人を迎えるようにお地蔵様は立っているのでした。そばの木立の幹にペイントされた赤い矢印は、お地蔵様の背中側に青野を目指して示されています。当然、前回来た私は、そちらにしか道がないと思っていたのです。ですから道に背を向けているなんて変だなあ、と思っていたのですが、メインルートはお地蔵様の目前を通っていたのでした。もっと考えればよかったなあ。地図を見るとかしてさ。私の眼力の限界でした。


   右(南)だけに矢印が書いてあるんだもん…


    お地蔵様が向いているのは、メインルートの一条方面からの道なのでした



                 「青野道を探索する〜その二」に続く

                                             
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