葉

天城峠古道を行く〜其の二
探訪2005年3月21日   
 
 景色がよいのは、ここまでです。やがて道は尾根を回り込み、西斜面を歩くようになります。


  このように白いペンキが付けてあると分かりやすいのですが…。

 辺りは鬱蒼とした檜の森です。時々、鹿の足音でしょうか、どこかで「ザザッ!」と音がします。
 間もなくすると、大きく崩落したところに出ます。道が崩れていると言うより、沢の崩落が大きく谷を削っているという感じです。


        今回のルートで一番大きな崩落箇所です。
 
 ここは、今回のルートの中で一番大きい崩落箇所です。また、傾斜が急で、しかもざらざらした小石の沢なので、足元が大変に不安です。きちんと通り道の安全を見極めていかないとなりません。沢を越えた向こう側に目印のトラロープがありますので、そこを目指し、ここはいったん下に降りて沢を越えます。


  崩落箇所を行くkawaさん。 でもこんな所を越えるは、お手のものです。
 
 大きな沢の割りに水はチョロチョロとしか流れていません。無事に越えられましたが、トラロープが張ってあるくらいですから、そこから先も足元は不安です。気を付けながら、さらに歩を進めます。斜面に付けられた道は細く、三点確保で慎重に進んでいきます。


         頼りになるトラロープ

 間もなく、2つ目の崩落地点に出ます。こちらは規模は小さいものの、高低差がありますので、大きく上に迂回して越えます。


       ここを越えるのも大変でした。

 すると、まもなく目の前に枯れ沢があり、白い道標が表れます。ここを沢に沿って登ると、中険業峠です。道標にその表示を加えればよいと思うのですが、なぜか書いてありません。傍らには、いくつかの大きな杉の切り株が朽ちて時の流れを止めています。


        中険業峠への分岐(右へ)



  「右 旧天城トンネルに至る 左 二本杉に至る」とあります。


      かなり大きいです。樹齢200年以上かな?

 さて、ここからは私もまだ歩いたことのない部分です。どんな道が続いているのでしょう。楽しみであります。

 道は相変わらず斜面をほぼ水平に西進、あるいは北進します。そろそろ、以前地図で見た、尾根が南西に張り出した地点をぐるっと南に巻く地点に出るはずです。

 道はきちんと付いています。 道は森から出て、灌木と茅が生えているところに出ました。 この辺かな? という辺りで、案の定、踏み跡は南へ向かっています。でも、何だか変です。これでは南へ進みすぎではないでしょうか。 同行のkawaさんとおじナベさんも、首を傾げています。足元には、木を切り出した時に使ったと思われるワイヤーが放置してあります。この踏み跡は、林業の人たちが利用した道かもしれません。


   こういうのがあると、ついそちらへ行きたくなるものですが…。

 眺望のきく所で立ち止まって西を見ますと、何となく二本杉峠の手前に近いように思えます。このまま下れば二本杉歩道にぶつかるような気がしますが、それは危険でもあるように思えます。そこで、とりあえず戻っていっそのこと尾根を目指そうか、ということになり、元来た道を戻ることにしました。


    迷った辺り。 意外と何でもないところが危ないのです。

 檜の森まで戻りますと、ちょっと待ってください。西に延びる道があります。これは? と訝しく思い、ちょっと歩いてみることにしました。どうやら道は北西に向かっているようです。 どうしてここを見失ったのでしょう。きっと、「南へ」という思い込みによって見失っていたのでしょう。まだまだ甘い私です。


     おや、これは道のようですが…。ようやく見つけました。

 さあ、となりますと、二本杉歩道までそう遠くない地点に来ているはずです。

 が、ここで問題発生。また崩落している箇所に出ました。今度は沢が深くえぐれており、いったんかなり下まで降りてから再び上がってこないと、向こう側へは行けないようです。とりあえず私がルートファインディングの役として先に行ってみました。まもなく道には戻れるのですが、その先でまた崩落しています。そこで一度戻り、踏み跡を見失わないように山肌を右に見ながらずっと道下を通り、2つの沢を一度にパスして、安全な所まで道に這い上がることにしました。


  この下は深い谷なんです。

 後で振り返ってみますと、この地点が通過するのに一番大変な箇所でした。この時、2人の先輩は「何でそれほど道筋にこだわるのか。 さっさと尾根に上がればいいのに。」と思っていたとかいないとか…。

 それにしてもこの荒れようでは、補修をしないと道はどんどん消えてしまうでしょう。せっかくいいロケーションにあるのに、生かされないのは残念です。何とかしたいな、と思わずにはいられませんでした。


  にっちもさっちもいかないとは、このことでは? という地点です。


      おお、あれは?!  とうとう二本杉歩道に出ました!


       これこれ。この道標まで来たかったんです。


  二本杉歩道と共に開かれた茶屋の跡です。



      昔はここが天城峠だった、という説のある地点です。

 さて、道はまだ続くのでしょうか。そろそろでは? と思って歩いていたところ、おや? 何となく見たことのある所が目に入りました。向こうに別の道がつながっています。道標も立っているようです。はたして小走りに近寄って見ますと、やたーっ! ここが二本杉歩道との分岐点です。やりました。念願の天城峠古道を歩き通したのです。

  
                 「其の三〜帰路は稜線を」に続く 
                                             
トップ アイコン
トップ
葉