葉

ふらりと吉田の里を訪ねる
探訪2006年7月16日   
 
さあ、出かけよう
 季節は梅雨ですが、海の日を含む3連休は初日から晴天に恵まれました。昨日の土曜日はあひる号で箱根に出かけ、思いっきり羽を伸ばしてきました。それで今日はというと、夏の観光イベントとして雲見で無料のサザエ拾い大会があるというので、サザエ大好きタダ大好きのせこい私は、それに行ってみようと思い立ちました。
 着替えの靴下にタオルなどをリュックに詰め、準備を整えます。雲見では駐車場難が予想されたので、バイクで出かけることにしました。帰りには南伊豆をふらりと走ってくることにしましょう。


  今日のお供は、これ スズキGS1100Gです 
 
 午前7時45分、出発しました。途中で写真を撮りたいところがいくつかありましたが、まっすぐ目的地を目指すことにしましょう。あれもこれも一度に済ませられない性分なんですよね、私…。

雲見に到着
 8時45分、雲見温泉に到着しました。陸橋の手前にある空きスペースにバイクを停め(ふふふ、便利)、会場である浜を見下ろすと、あれれ? 何だか長蛇の列ができています。サザエを拾うのに列を作るのでしょうか。


        あの人の列は何?

 浜に下りてその理由が分かりました。今日は波が高いため、危険防止のためにサザエ拾いは中止。その代わり、訪れた人に配布することになったというのです。ただしサザエが無くなり次第終了する、とも言っています。げっ、それでみんな並んでいるんですね。
 それでは私も急いで並ばなくては、と思ったのですが、いや凄い人の列。どこからこんな小さな集落のイベントを聞きつけてやってきたのでしょう。私が並んだのは、たぶん先頭から350番目ぐらいのところではないかと思います。もっと早く来ればよかったですね〜。


       最後尾はまだまだ後ろです(汗)

サザエは貰えるのか!?
 待つこと約10分。ようやく列が動き始めました。隣りに並んでいる家族連れのお父さんは「こりゃだめだ、もらえないだろうよ。」と何度もつぶやいています。そんなこと言わないでよ〜。こちらまで不安になるでしょ。ま、一か八かの運任せにドキドキするのもたまにはいいかもしれません。


  うーん、こんなに人が並んでいます 大丈夫なのか…?

 それにしてもここ雲見の砂浜はごく小規模の浜であり、今井浜のようなゆったりとした砂浜ではありません。すぐに海が深く落ち込んでいるようなところです。ここにサザエを撒いたとしたら、私のようにズボンの裾をめくって入ろうと考えていた人間には、とうてい拾えそうもありません。水着を着ていないと無理でしょう。むしろ今日は波が高くてよかったなあ。



 さてさて、念願のサザエですが、何とかいただくことができました。ビニル袋には中くらいのが2個入っています。しめしめ。だけど後ろの方の130人ぐらいの人たちは、とうとう貰えずに解散するハメとなりました。ま、すぐそこに漁協の直販場があるので、ほしい人はそこで買えばよいのです。ま、買っている人は見ませんでしたけど。


  いよいよ私の番が来ました おじさん、ちょうだい〜


       まだあんなに人が並んでいます


      ついにサザエをゲット〜!

ふらりとショートツーリングに出発
 さあ、当初の目的は果たすことができました。ここからは休日の午前をバイクでゆっくり過ごすことにしましょう。

 マーガレットラインをそのまま南下し、石廊崎をぐるりと回ることにしましょうか。
 途中、「十割そば」やらパスタのおいしいというお店の看板がきになりましたが、いずれも営業は11時からですので、とても時間は合いません。とりあえず夕陽が丘の展望台を目指すことにしました。

 ところで今日乗っているバイクは、もう7年ぐらいのつきあいになります。スズキのGS1100Gという逆輸入車で、ほとんど知っている人はいないのではないでしょうか。私も、買った店で初めて見て、安かったので買ったという次第です。

 パワーは100psほどあるそうですが、何より車重があるので、重いです。何をするにもよっこらしょという感じ。とても軽快なひらひら感はありません。らいおんさんが乗ってられるトレール車だったらよいのですが…。


          妻良を見下ろすパーキングにて

妻良トンネルの大日如来石像
 妻良のトンネルを抜けたところで、大日如来様にご挨拶。そういえばらいおんさんがこの辺りを自転車で回られましたね。のんびり旧道旅を私もしたいものです。
 

   台座に「奉納 大日如来」と彫ってあります(向かって右)

 と目の前を見ますと、「吉田入り口」という案内板があります。んー、海に面した山あいの小さな集落があるとか聞きますね。 ちょっと行ってみましょうか。海にまつわる神様とか石造物が見つかるかもしれません。何より初めて行く土地です。何だかわくわくしてきました。そちらにステアリングを向けて、アクセルをひねろう!


      吉田の入り口 見落としやすいですね

 4輪車だとすれ違いが困難な狭い道をくねくねとバイクを操りながら、ひたすら下りていきます。

吉田の集落へ
 そろそろ吉田の集落かな、と思うところに、石塔や地蔵様などが固まって置いてありました。


     集落の入り口に集められた感じで立っています

ふむふむ、これは念仏塔と回国供養塔などですね。とするとかつてはここに古道が通っていたと言うことでしょうか。今来た道は、それを拡張して作ったのでしょうか。


        一つ一つ由来を聞きながら調べてみたいものです

 集落に入ったところで、右手にお地蔵様が祀ってありました。剥落がひどくて銘もどうにか「寛政」「願主」という文字が読めるのみとなっています。


         ひっそりとした集落です


  由来不明の寛政年間のお地蔵様  高さ80cmほど

 ちょうどそこへ畑仕事のご婦人が通りかかったので、由来を聞いてみました。


         働き者のおばあちゃん 

「お仕事中、すみません。このお地蔵様はどういうお地蔵様ですか?」

「私も知らないですよ。ずっと昔からここにありますけどね。きっと地主さんが立てたんだと思いますよ。よく山の境に立てることがあるもんでね。」

「そうなんですか。山の安全を守るという意味なんでしょうかね。それにしてもお顔なんか剥がれちゃって…。痛んでいますね。」

「まあ、そうだと思いますよ。途中からくずけちゃったようだね。あんたどこから来なすったですか。」

「下田から来ました。」 

「ああ、そうですか。妻良に行くですか。2時間半かかりますよ。」

「あ、ハイキングコースのことですか。」

「ええ、そちらに行くと妻良で、あちらは入間へ行く道です。あ、バイクじゃ無理ですねぇ。まあ、また来てくださいよ。ははは。」

「ありがとうございます。いろいろ見て回りますので。」

吉田のサイの神
 吉田はずいぶん小さな集落のようです。こんな海と山に囲まれてひっそりと暮らす村があったんですね。自動車の通る道が開通する前は、どんな暮らしをしていたのでしょうか。とりあえず海岸まで行ってみることにしました。

 と、少し走ったところで石造物が固まって安置してあるのを発見。 あ。あれは! 

 近づいてみると、いくつかの石祠があって、その石室に丸い自然石が入れてあります。これは名著『吉川静夫 私の中の道祖神 第三部 伊豆のサイの神 後編』に記されている吉田のサイの神ではないでしょうか。
 かの本によりますと、「吉田ではドンドン焼の灰を家の玄関などへまくと、悪い虫が入らないといっている。」とあります。なるほどここでどんど焼きが行われていたんですね。今はどうなんでしょう。


             おお、あれは!


   吉川氏の著書によると、中央の2つがサイの神様だそうです

 サイの神様を写真に納め、海岸まで行ってみました。墓地などもあり、殺風景な景色が広がっています。今日は随分と波が高く、時化ています。バイクのサビ発生が心配なので、すぐに引き上げました。 


         荒涼とした風景です


   吉田の浜 冬みたいな景色が広がっていました

 と、さきほどお話を伺ったご婦人がちょうどいらっしゃいました。再びバイクを停めて、サイの神について聞いてみたところ、昔は子供の疱瘡が軽く済むようにと、上げ物をしてお参りをしたそうです。

 近くにある墓石群については、無縁さんかと思って伺ってみたのですが、そちらは、

「古い方の墓地ですよ。今は新しい墓地が向こうにできました。今でもお参りに来る人はいますよ。」

とのことでした。放置された無縁墓地ではなかったんですね。ごめんなさい。でも今は、子供なんて住んでいるのでしょうか…。

 ハイキングコースの案内板を見ると、海岸線を巡る数時間のコースが設定されているようです。いつか歩きに来ることにしましょう。二十六夜山という不思議な名の山もあるようですし。

旧道を巡る 
 吉田の集落を跡にしてからは元来た道に戻りました。少し旧道を走ってみましたが、所々に庚申塔や馬頭観音などがあり、興味深く見て回りました。ゲートボール場では、元気なお年寄り達が快音を響かせていました。


      旧道にある石造物群  いくつかこのような場所があるようです


     ちょっと迷子になりそうな感じ 自転車でのんびり回りたいです


           こ、ここは沖縄か…

 裏石廊崎では、いつものパーキングに滑り込みます。
さすが連休なので、車いつもよりは多いです。いつも写真を撮るところには、最近気になるアウディTTクワトロが停まっていました。東京からのお客さんのようです。
 なぜクワトロが気になるかって? いえ、同じ県東部でクワトロTTに乗ってられる方がいて、ここで撮ったきれいな写真をサイトに載せてられたからです。いつか一緒にドライブしたいというのは夢かな…。


      ここに来ると写真を撮りたくなる私です

 裏石廊崎を跡にしてからは、以前から来たいと思っていたところてん屋さんの暖簾をくぐることにしました。ずっと気になっていたのですが寄ることのできなかったお店。あるサイトで推薦していたので、今日は思い切ってバイクを停めました。

念願のところてん屋へ
 中に入ると、暗くていいいい雰囲気です。 でも、あれれ?なぜか野鳥の鳴き声がテープ?で流れています。余計な演出ですな。ま、それも田舎のよさかと。笑って受け入れることにしましょう。

    いつか来たいと思っていた店です       黒蜜ところてん 370円也

 タレは酢醤油と黒蜜の2つがあるというので、甘党の私は黒蜜の方を頼みました。

 待つこと約2分。出てきましたね。 おや、ひじきの煮物が付いています。伊豆の味を汁にはよい組み合わせかも。
 途中、きな粉を誤って吸い込んでしまい、げほげほしてしまったのはご愛敬。隣のカップルのお客さん、こんなオヤジをお許しください。

 弓ヶ浜のにぎわいを見て、帰宅したのは午後1時半でした。南伊豆の小さな集落には、今日見てきた神々や伝説などが静かに眠っているのでしょうね。そんな里を訪ね歩くのはきっと楽しいと思います。これからの計画に加えることにしましょう。さあ、地図を開いて次の土地の見当をつけましょうか。またバイクで行こうかなあ。


       弓ヶ浜には既に夏の喧噪が訪れていました


 サザは壺焼きにしていただきました

                                             
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