葉

宇土金を行く
探訪2002年 秋
 

 資料『下田街道』には、「宇土金には江戸時代の街道の姿が残っている。」と記されています。国道から外れているので通る車は少ないのですが、ここにも開発の波は押し寄せています。そんな中で江戸期の街道の面影が残るところを訪ねてみました。では、ご覧下さい。

宇土金口
 下田街道を南下し、目金を過ぎてしばらく行きますと、バス停「宇土金口」があります。そこで道を右折し、橋を渡って対岸の宇土金地区に入ります。この辺りはとても日当たりがよく、車の通りも少ないので、大変のどかで静かな土地となっています。こんな所にガレージ付き家屋を建てて猫やニワトリと暮らしたいものですー。(夢)

 さてそんな宇土金ですが、道は徐々に拡張されつつあります。圃場整備も進み、昔ながらの景観は変わってきました。道が急に広くなったところの三叉路に秋葉神社常夜灯が一基建っています。

秋葉神社常夜灯
 高さは220cmほど。銘として「秋葉山」「天保三」などが読めます。ここは、箕作方面と椎原方面の分岐に当たります。道しるべの役割も果たしていたのでしょうね。資料『下田街道』によりますと、この奥の山腹に秋葉神社があるそうです。ちょっと見上げてもないのですが、ある、というからにはあるのでしょう(2007年に宇土金の人に連れて行っていただき、祠を見てきました)。そう言えば「七曲り峠」近くにも秋葉神社跡がありますが、あちらも下から見上げただけでは全く分かりませんものね。


         秋葉神社常夜灯

向陽寺の石造物群
 常夜灯からは道がぐっとよくなり、そのまま向陽寺・近代美術館・仏教美術館に至ります。手前に駐車場があり、その奥が向陽寺です。石段の傍らにたくさんの石造物が並んでいます。およそお地蔵様は無縁仏で、石塔は青面金剛塔(庚申塔)のようです。ここの石塔は、一見の価値があります。庚申塔独特の月や太陽、三猿、ニワトリの浮彫像が大変はっきり見て取れるからです。そうそう、ここの駐車場は、元は谷間だったそうで、近年になって埋め立てたそうです。旧道の一部が駐車場の北側に残っています。

            ずらりと並んだ庚申塔                         向こうの石垣に沿って旧道があったのです

仏教美術館・大正近代美術館
 さあ、せっかく来たのですから、仏教美術館を見ていきましょう。ここで拝観できるのは、木像ばかりです。美術品として置いてあるようです。西洋美術館には、セザンヌやルノワールの絵画が展示してありますので、お好きな方にはよろしいでしょう。わたしはちょっと…、です。ちなみにここの境内では、2月の節分祭が盛大に執り行われます。大正製薬の契約タレントがゲストで来て豆をまくのですから、それはものすごい人出です。(数千人規模です)かつて来たタレントは、木村佳乃、竹下恵子、真田弘幸、ケインコスギです。私は2000年2月、竹下恵子を見に来た時にカメラのレンズのフードを落っことし、誰かに景品と間違えられて持って行かれてしまいました。大事なものだったのに、後できっと「何じゃこりゃ?!」と捨てられちゃったでしょうね。悔しい…。


      仏教美術館内部(入場料300円) 

馬車道と馬頭大日両師尊
 仏教美術館に隣接して日枝神社やだるま茶屋などがありますので、寄り道してみるのもよいでしょう。だるま茶屋では「手打ちそば」なるものを出しているそうですが、さてお味の方はどうなんでしょうね…。

 さてここから稲梓小学校下の分岐を目指して進み、右に山が迫ってくるところの畑の中に、石塔が一つ建っています。それは別のページで紹介してある「馬頭大日両師尊」ですが、なぜか畑の中にぽつんとあります。土地のご婦人の話に寄りますと、昔はそちらの方に馬車が通る道があったそうで、農作業で使った牛馬の供養塔として道ばたに建てたものが今もそちらに残っているという訳なのです。昔の馬車道…、当時の写真があったらぜひ見てみたいものです。


   馬車道はすでに消えて、どこを通っていたか分かりません

 やがて見えてくる分岐は、直進すれば藤原峠への道、左は「宮渡戸橋(みやわたどばし)」を渡って箕作・下田へ、右は北湯ヶ野・松崎方面へ通じます。この辺りには薬局や農協がありますが、以前は他にもお店があったそうです。ちょっとした中心地だったんですね。

荒増から藤原峠へ
 ここからは、藤原峠へ通じる最短の道があります。昔、須原小学校の子どもたちはここから藤原峠を越えて下田北高のプールに行き、水泳大会に参加したそうです。もちろん豆陽中学生も歩いて通学しました。荒増から蓮台寺まで25分で歩いたというのですから驚きです。もちろん日暮れの早い冬の道も灯りなしで歩いたというのですから、驚くほかありません。昔の人は強かった、ということでしょうか。
                                             
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