葉

落合から坂戸の峠へ
〜そしてリベンジは果たされた
  2001年4月14日探訪   
 
 坂戸から落合への道は、前回の探訪で道筋が分からなくなり、引き返してしまいました。しかし、やはり途中で挫折したとなると、あまりよい気分ではいられません。そこで聞いた話や地図で調べ、今回は、落合から登って、前回引き返した地点に出る計画を立てました。


         伊豆急稲梓駅遠望

 伊豆急の稲梓駅を左に見て川を渡り、奥へと進みます。やがて、一番奥の大きな砂防ダムが見えます。


        一番奥の大きな砂防ダム

 この砂防ダムは、東側(左岸)に道がついており、たやすく越えることができます。

 越えるとすぐに、河原に下りる道がかすかについていますので、藪を分け入るようにして下りてください。


   ダムを越えてすぐの分岐

 画像の下に見える石柱は、「静岡県」のコンクリート製の標識です。ここを道なりに進むと、河津の谷津に出るようです。高校の時遠足で通ったはずなのですが、はっきり覚えていません。この日もはじめはそちらへ入って沢沿いに歩いていったのですが、まもなく道が消えた上、間違えた方に来たことに気づいたので、ダムまで引き返し、この河原に入りました。

 落合の知人に聞いた話によりますと、この沢沿いに山に入って、峠に出たら、右が河津町の谷津へ通じる道で、左が坂戸に通じる道だそうです。確かに、国土地理院発行の地図にもそう記されています。


        この左斜面を上っていきました

 河原に下りますと、道は対岸に渡るようになっています。平成5年の大水害で道は消えたでしょうに、山菜とりの人が入っているのでしょうか。分かりにくいながらも、しばらくの間は踏み跡がありました。県の「砂防地区」という標識もいくつか立っています。踏み跡は、沢の少し上を通って奥に続いています。

 しかし、じきにその踏み跡は怪しくなり、沢に沿って登るのは困難になりました。藪をかき分けていきますと、何やら石垣のような遺構があります。おお、これは炭焼き小屋の跡のようです。


          炭焼き小屋の跡

 この炭焼き小屋を過ぎた辺りで、はたと困ってしまいました。藪がじゃまをして、どうにも沢沿いには進めません。地図を引っ張り出してみますと、砂防ダムからしばらく来たので、そろそろ山に入って尾根伝いに行けば、前回の引き返し地点まで到達するような気もします。が、山はかなりの急斜面になって迫っています。どうしましょう…。

 そこで、意を決して、斜面を上り、ひたすら上を目指すことにしました。
 それにしても、この辺で一番傾斜のきついところを登っているんじゃないか、と思うような急斜面を登り始めてしまったようです。木の根や幹をつかまなければ、とても登れるものではありません。足がずるずる滑るので、這うようにして登っていきます。

 しばらくして振り返ると、東南の方角に山が見えました。アンテナが立っているところからすると、高根山のようです。


       おお、あれは高根山…

 汗をかきかき懸命に登ること15分ほど、檜林が現れ、雑木林と明らかな境界ができています。どうやらこの境界はそのまま尾根筋に通じていそうです。ちょうどよい道の目安ができました。都合の良いことに、登り坂も徐々に緩くなってきました。ところどころに、細い踏み跡が通っています。どうやらけもの道のようです。イノシシやイタチなんかが通るのでしょうね。


     檜林と雑木林の境界ができています

 そのうち、前方に、そこだけ異質な木が立っているのに出くわしました。見ると、根本に角張った石がいくつか置いてあります。(おやっ!?)と思って近づいてみますと、石造物のようです。石祠の扉のような形をした部分があるので、たぶん石祠だったのでしょう。でも、屋根は見あたりません。水を供える窪みと思われるお供え台はありました。手前に倒れている石柱には、人が足で乗ったような土が付いていました(ばち当たりな…)。


           椎の木と石造物

 お地蔵様ではない、こんな石造物を見つけたことは、大きな驚きでした。辺りの様子を見ると、尾根でそこだけ少し高くなったところで、しかもここだけしかないような椎の木があるのです。神様を祀ってあるのはいかにも、というような気がしました。

 さあ、石造物があったということは、多分道筋は正しいのでしょう。さらに足に力を込めて登っていきました。と、みると、前方に竹藪が出現しました。でも、竹はそう込み合ってはいなくて、歩きにくいことはありません。

 まもなく前方が明るくなり、稜線が空と分かれています。あそこまで行けば、何か新しい手がかりがあるかもしれません。もしかしたら、前回坂戸から来た道とつながっているかもしれないのです。


         もうすぐ稜線に出るようです

 さあ、新しい稜線に出ました。そしてさらに進もうとして上を見ますと…、おお! これはいつか見た風景です! そう、前回来た、坂戸からの道です。そうか、ここに出るのだったんですね。やりました! ついに道はつながったのです。感激!


       これは、かつて一度来た道!

 前回は、ここの大きく道が落ち込んでいるところを下って竹藪に出て、そこで引き返してきたのでした。ここまで来れば、あとは坂戸に行く道は難しくありません。
 それにしても、落合からここまでの道は、本当に昔の道だったのでしょうか。どう見ても、女性や子どもを含む普通の村人が通ったとは思えないのです。斜面が急すぎますから…。それとも、ジグザグに斜面を巻く道がつけられていたのでしょうか。これは、知っている人に聞いてみなければ分からないところです。

 しかし、これで、今までどうしてもつながらなかった点と点が線で結ばれました。うーん、いい気分。さあ、つぎはどの古道を訪ねましょうか。
                                             
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