葉

大平山に登る
平成13年2月10日探訪   
 

大平山(中央左)を相玉から望む

 ある日の職場での会話
「週末は、どこかへ行くの?」と、職場の先輩。
「はい。山を歩いてこようと思います。」と、僕。
「あら、いいわね。私、大平山に登ってみたいのよ。案内人を探すから、みんなで行ってみない?」

 こんな話から、急に大平山に登ることになりました。大平山は、稲梓小学校の校歌に歌われている山です。ぜひ一度登ってみたいと思うのは、稲梓の人間としては当然のことでしょう。先輩の迅速な計らいによって、案内役を務めてくださる方の協力も得られることになり、職場の先輩や仲間、合わせて7人で訪ねることになりました。

 入り口は、須原の坂戸・三玄寺の登り口を右に入ります。地図では、坂戸を奥まで入って東側からアプローチするように読めますが、実は大平山の頂までつながる登山道は記されていません。一体どのような道で登るのでしょうか。

 午前9時に三玄寺の駐車場に集合。挨拶を交わして、さっそく登り始めました。
 大平山には、市の事業として山頂までの遊歩道を作る工事が行われています。今回は、その工事用林道を利用して登りました。

 林道は、山を巻くようにしてうねりながら登っていきます。左右は檜林です。時折視界が開け、南側の伐採された山肌が見えます。
途中からの展望
       途中からの展望(須郷方面)

 車ではここが限界、というところからいよいよ坂が急になります。工事用のクローラ(キャタピラのついた箱のような運搬車)がやっと通れるくらいの幅の道を、左右に折れながら登ります。この道は、この春に、檜材を埋め込んだ階段になるそうです。

途中の山道
      こんな道を登っていきます

 途中、「昔はここに芋畑があったそうですよ。」という跡がありました。こんな山の上の方まで?と思うような場所でした。また、坂戸の山神様から入る道と合流する地点も教えていただきました。いつかそちらからも登ってみたいです。

坂戸からの道
  が坂戸から来る道です(振り返って見たところ)

 さて、本来の取り付き道はここまで、というところから、いよいよ坂が急になってきました。以前はここから道無き山肌を登っていったそうです。斜度は20度ぐらいでしょうか。でも体感としては30度ぐらいに感じられます。気を抜くと、足を滑らせてごろごろと斜面を転げ落ちてしまいそうになります。

 あたりは鬱蒼と茂る檜林。間伐してないので、下草が生えていません。野生動物には厳しい環境でしょう。おや、向こうでジーゼルエンジンの音がします。実は、遊歩道工事のために、建設会社の人が入って作業をしているのです。案内役の方は彼らとお知り合いらしく、情報交換をしておられます。

 「さあ、もうすぐ頂上ですよ。」と知らせる声が聞こえました。確かに前方が明るくなっています。

まもなく山頂
           もうすぐ山頂

まもなく、ああ、着きました! ここが大平山の頂上です。感激! 


       やっと山頂に着きました

 頂上は、灌木が伐採されて、きれいになっていました。眺望はもちろん360°ききます。ただし周囲にまだ檜などが残っていますので、すっきりとは見渡せません。山頂の広さは、テニスコート2面分ぐらいでしょうか。頂上からわずかに下がった南側に三等三角点があり、その近くに石祠と石塔があります。先に2人の猟師風の男性がいまして、やがて箕作方面に藪こぎをしながら下っていきました。
 ところでこの石祠には「2565年…」という名が刻んでありまして、大変不思議に思いました。だって、今年は2001年です。後で調べてみたところ、これは「皇紀」という年の数え方で、神武天皇が即位した年(西暦紀元前660年)を元年として数える方法だそうです。ですから、皇紀2565年は、西暦1905年(明治38年)ということになるようです。

山頂の三等三角点 頂上の石祠
          三等三角点                   『二千五百六十五年 鈴木太郎左エ門』の銘あり

山頂の石柱
 『□永□□年 □や直大□』とおぼしき銘あり

 初めて立つ場所から辺りを見ますと、そこがどこだかなかなか分からないものです。山頂からは、落合、箕作、相玉、目金、須郷口村、北の沢などが見えますが、よく考えないと分からず、戸惑います。遠くには、天城をゆく国道136号線、まだ雪の残る天城連山なども見えます。一方、南には、伊豆大島や利島、御子元島などが見えます。
 
南展望
          南側(落合〜深根城址〜藤原山〜地蔵山〜相玉)を展望する


         北側(須原・目金〜北の沢〜小鍋峠〜天城連峰)を展望する

 山頂には35分ほどいたでしょうか。案内してくれた方から今後の整備計画や現在の山林の状況などをいろいろ話していただきました。もちろん私も、稲梓の古道や道標に関する情報を伺いました。
 
 話が一段落したところで、同僚の仲間と一緒に写真を撮ったり木に登ったりして、一行は童心に戻ってはしゃぎました。うーん、やっぱり仲間っていいですね。大平山、最高! 稲梓、最高! 山頂で食べたキャンディーやポンカンは、おいしかったよ。

 帰り道は、急な下り坂で膝を痛めないように、慎重に下りました。途中、伐採から残された、見事な楠を見ました。長年育った木です。切るには忍びないですよね。

 これで念願の大平山に登れたわけですから、もう思い残すことはありません。たとえ転勤しても大丈夫。この日の思い出は、生涯私の記憶に残るでしょう。この地に勤められ、よい仲間に恵まれた幸運に感謝!

付記:2002年現在、須原・山の家近くからきちんとした登山道ができています。国道から150mほど車道が入っており、記帳所もありますので、ぜひ足跡を残してください。
                                             
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