葉
落合・高根神社の鬼射を見る
2003年2月11日探訪
 
 落合の高根神社では、毎年2月11日に「鬼射(おびしゃ)」という行事を執り行い、無病息災・五穀豊穣を祈るそうです。
 この地に勤めているときはいつも行きそびれていたのですが、今年は前から情報を仕入れ、行って来ました。

高根神社・遠景
 伊豆急稲梓駅と向かい合う山の麓に、高根神社があります。実際には、高根神社に白山神社が合祀され、高根白山神社となっているようです。伊豆石の境内を持つこぢんまりとしたお宮さんです。


               高根神社遠景

 午前9時半、境内に作られた会場や集会場には、すでにたくさんの地元の人たちと報道関係者、アマチュアカメラマンが集まっています。みかりん先生のお母さんから甘酒をいただき、飲みながら準備が整うのを待ちました。この甘酒が極甘で、1週間分の糖分をとったような感じでした。でもお年寄りも地元テレビのスタッフも、みな飲み干していたなー。いえ、甘いから甘酒なんですね。失礼しました。 甘酒の次に、小さな的もいただきました。縁起ものだそうです。ありがたいことです。

神事
 午前10時、いよいよ鬼射の始まりです。
 まず副区長さん?の短い挨拶がありました。鬼射は、480〜500年ほど続いてきた由緒のある行事だそうです。
 続いて5人のさんが神殿に参拝し、2つがいの弓が用意されました。黒い着物に袴姿の2人は介添え役の酌取。裃(かみしも)をつけた3人は、2人が射手となる役者(役目をになう者という意味ですでしょう)で、弓を持たない1人は弓太郎という総指揮者だそうです。
 いよいよ酌取の人がうやうやしく弓矢を掲げて射手に渡します。


      酌取が「高根神社」という銘のある弓を射手に渡します

鬼射
 弓と二本の矢を手にした射手は、弓を射るときに立つ所を厳かに3度、互いに逆回りに回り、やがて静かに矢をつがえます。交代で2本の矢を射て、射終えたら弓を置き、また最初と同じように弓を受け取るところから始めるのです。

 弓を射るという時の緊張感は、すごいです。いよいよ矢を放とうという時になりますと、辺りがしいんと静まって一気に緊張感が高まります。射手がきりきりきり…と弦を引き絞りますと、それにつれて弧を描いてしなる弓、息をのんで見守る観衆。ここまでかと弦を引き絞る射手の右手が止まりますと、一瞬時の流れが止まります。その緊張が高まった瞬間、「ケーン!」と矢は放たれ、空気を切り裂いて28m先の的を目がけて飛んでいきます。「ザシュッ!]と弓が落ちて地を這うと「ああー…」と言うため息が漏れます。
 何度目かの挑戦で見事矢が的をとらえますと、「ドンドンドーン!」と和太鼓が打ち鳴らされ、境内に大きな拍手が響きます。静かに安堵の表情を浮かべる射手の役者さん。これで見事に役目を果たせたことになりますから…。射手を含めた役者さんは、この間ずっと無言でゆっくり厳かに行事を進めています。
 この日は、「弓矢を受け取る→射る→弓を返す」という動作を3度繰り返し、その中で2本命中しました。ここは非常に静かで厳かな雰囲気の中で行われました。
 一方、いい絵を撮りたくて落ち着かないのはカメラマンでした。私も少し移動しました。ごめんなさい。
   
         二人同時に矢をつがえ…                   射るのは一人ずつです

石を投げて的を壊す
 弓を射終えた後、世話人の人と子どもたちが的まで行って、石を当てて的を壊すのです。


 「ほれ、もっと壊せ。」とまわりの大人から声がかかります

 壊れて額から外れた的を裏返してみると…、「鬼」という大きな文字が書いてありました。つまりは鬼をやっつけたということですね。なんて縁起のよい行事でしょう。
 この日石を投げたのは、箕作のりょうすけ君とたくや君、宇土金のゆうすけ君でした。落合のあゆみちゃんとかずき君も来ればよかったのにー。


   的の裏に書かれていた「鬼」の文字。これで鬼は退散しますね

 一旦みな席に戻り、射手が御神酒を注がれると(実際にはお酒は入っていないようでした)、行事は滞りなく進められた、と言うことになります。
 区長さんが「これで今年もみなさんの無病息災・五穀豊穣はまちがいありません。」と挨拶され、10時40分、鬼射はお開きとなりました。途中で、風邪を防ぐという餅米のご飯と、虫歯を防ぐという米の粉をいただきました。報道陣には鬼射の由来を書いたプリントが配られていたようでした。

   縁起物の小的と、風邪・むし歯を防ぐという餅米の飯           射手が御神酒をいただいて鬼射はお開き

 会場で一緒になった笹○先生と「いい行事だったねー。子どもたちもっと来ればいいのに。」と話しました。来年もひょっとして来ちゃうかも。
                                             
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