葉

そうだ、吉佐美 行こう 4
探訪2005年7月24日   

 さて、ここからは吉佐美の大浜の方をご案内しましょう。

車輪のあるお地蔵様
 朝日小学校の近く、スーパーマックスの前の交差点を海の方へ入ると、下条や浜条地区を経て吉佐美大浜へとつながります。朝日橋を渡ると、道路の左に、祠に納められたお地蔵様2体があります。
 珍しいことに、大きい方のお地蔵様には、車輪が付いています。



 これは、お地蔵様が六界のあちこちを訪ね歩いて人々を救済することから、たやすく移動できるようにと、車輪が付けられたそうです。それで、そこに目を付けた人々が、交通安全のお地蔵様として崇めるようになったそうです。(と、傍らの説明版に書いてありました。なるほど〜。)



仏谷山宝徳院
 車輪のあるお地蔵様の向かい側に細い路地があります。そこが宝徳院への入り口です。

 ちょうどこの年はお寺や境内の大改修が行われており、落ち着いて見学することはできません。
 境内に向かって右側に、石碑や石塔があります。ほとんどが墓石のようです。六地蔵があるとよいのですが、ここには認められません。


         いつ頃工事が終わるのかな

 墓地は、本堂の裏手にあるようです。いずれ工事が終わったらゆっくり訪ねてみることにしましょう。

三十三羅漢
 本堂に向かって右にそびえる岩山。そこにたくさんの石仏が奉納されています。

 現在工事中の土手をよじ登りますと、コンクリートの階段があります。 そこからは遊歩道のようになっていますので、夏草で手足を切らないようにして登っていきます。急な階段をぐいぐい上っていきますと、岩がオーバーハングになったところに、石仏がいくつも並んでいるのが見えるでしょう。中には怪しい(?)ものもあり、誰が作ってここに置いたのかな〜、と不思議に思います。

 途中はぐるりと1周巡ることができるようになっていて、ちょっとした散歩にいいかもしれません。 里条や浜条を見渡せる地点もあり、一度は訪れてもよいところだと思います。

 石仏の種類としては、いくつか見られます。 如意観音、馬頭観音、不動明王、六十六羅漢など、いろいろありますね。中に膝を抱えた、一見お坊さんのようでいて怪しい酔っぱらいオヤジみたいな石像があります。


 説明案内を読みますと、この像は羅漢というお釈迦様の弟子だそうで、膝を抱えた形をしているところから、足や膝の病気の掘り役がある仏様として信仰を集めているような事が書いてあります。なるほど、お酒も供えてありますので、酒好きが祟って足腰を痛めた人がお参りに来るのかもしれません。(って、私、何かひどいことを書いているような気がしているんですけど…。)

 一番上のポイントには、金比羅様が鎮座しています。漁業の神様ですから、ここから海を見守っているんですね。

八幡神社
 宝徳院から下り、再び元の道に戻りましょう。広い道がカーブにさしかかるところに、八幡神社があります。

 なかなか由緒のありそうな神社でしょう? 中には石祠や、別の神社から勧請されたとおぼしき末社が見られます。

 それと、源頼政と菖蒲御前の石碑もあり、歴史の深さを感じます。(源頼政は吉佐美の地で生涯を閉じたようなことが石碑に書いてありますので、いつかじっくり読んでみたいものです。 とにかく蚊が多いので、ゆっくり読んでいられないんです。かいい〜。)


   大きな石碑です  要熟読

天然酵母なパン屋
 余談ですが、八幡様の隣りに、目立たない小さなパン屋があります。
 お母さんと娘さんとでやっているこのパン屋、なかなか真面目な仕事をしているようです。一度寄ってみてはいかがですか? (あんパン150円など)


       旬の里にもパンを卸しています

大乗経供養塔
 さて、現在の広い道は「湊屋商店(みなとや)」の前で浜条橋とクロスしていますが、橋から来て山に入る細い道が旧道です。


         浜条橋の方から見た旧道入り口です

 その橋のたもとに、自然石を利用した石塔があります。


            高さ80cmほど

 銘を読むと、「大乗経供養塔」と読めます。願主の名も彫ってあるようですが、はっきりしません。「鳥取」の文字があるような…。まさかねぇ。

石塔
みなとやさんの前を50mほど入りますと3つ角があり、石塔が立っています。


     サイの神があるとしたら、こういうところでしょうね

 残念ながら剥落がひどくて銘が読めないのですが、「□□□供養塔」「文政六年」などは確認できます。


         なにかの供養塔のようです

 その背後の岩の上に、祠に納められたお地蔵様があります。


    痛んでいますね 石の質もよくなさそうです

 膝の部分が痛んでいるのですが、ちょっとかわった形のお地蔵様です。ちょうど通りかかった人に聞いてみましたが、私より年上の方でも由来は知らないと話していました。残念!

素堀りのトンネル
 旧道は、民家の間を縫うようにして南進し、じきに広い道と合流します。 そして、やがて田牛に向かうトンネルのある旧道交差点に到達します。
 このあたりはペンションやレストランが集まっており、南国ムードというか異国情緒というか、そんな雰囲気が漂っています。一種独特の世界です。


      南国ムードが漂っています

 さて、これが田牛に向かう素堀りのトンネルです。正式名は、吉佐根隧道というらしいです。


     車1台通るのが精いっぱいの幅員です

 今でこそ海岸に沿って広い道が田牛までつながっていますが、かつてはこちらの道がメインルートだったそうです。

 私が下田北高山岳部に入っている時、田牛の友達が2人いました。平山君と渡辺君なのですが、放課後の練習が遅くなると帰りのバスに乗れないとのことで、普通は早めに練習を切り上げて帰っていました。
私が「バスに乗り遅れたらどうするの?」と聞くと、「道を歩いていれば、通りかかった車が乗せてくれるよ。あんなところを歩いているのは田牛に行くに決まっていると思われるから。」という答えが返ってきました。
 確かに田牛までは淋しい山の中の1本道ですのでね。この日は私も初めてこの道を通って田牛まで行ってみましたが、夜、この道を歩くのは勇気がいると思います。

吉佐美大浜
 鍋田浜、多々戸浜、入田浜ときて、4つになるのが吉佐美大浜です。広くてきれいな浜です。大駐車場があるので、海水浴客も集まります。映画やテレビ、プロモーションビデオなどの撮影にも時々使われています。

碁石の拾える浜
 5月の家庭訪問でやこちゃんちに行った時、インテリアの中にまるで碁石のように黒くて丸い自然石がいくつもあるのを見ました。
 どうしたのか尋ねますと、大浜のとなりの浜でいくつも拾えるとのこと。これは行くしかありません。

 大浜の西、町営グラウンドの前を通り過ぎますと、田中第一隧道があります。それをくぐってすぐのところに、玉石の転がる浜があります。


   石浜です 泳ぐには適していないかも

 トンネルの出口に階段がありますので、浜へ下りてみましょう。

 流木やゴミなどが多いので辟易しますが、がんばって探してみました。

 石をかき分け、取り除いていきますと、おお、確かに黒っぽい石があります。



 でも、碁石のようにまん丸ではありませんね。気長に探せばあるいは見つかるかもしれません。やっぱり地元の人のように何度も通って探さないとダメみたいです。
 そうそう、この隣の浜には「碁石が浜」というそのものずばりの名がついています。ということは、この辺りではやはり昔から碁石のような黒石が拾えるたということでしょうね。

次はどこへ…
 さて、4回に渡って紹介してきた吉佐美シリーズは、ここでひとまず完結します。次はどこを訪ねるかって? そうですね、田牛へ行ってきましょうか。稲生沢勤務時代にキャンプのために訪れましたので、ある程度は見どころが分かります。ま、夏草が枯れてからになると思いますけど…。では、それまでごきげんよう。

トンネル地蔵様の正体は
 あ、忘れていました。トンネルの擁壁にはめ込まれた地蔵様ですが、帰りによく見てみました。
 すると、すごい事がわかりました。



 びゅんびゅんひっきりなしに通る車におびえながら道路を渡り、お地蔵様の前まで行ってみました。


        こんな所に立たされて、まあ…

 高さは40cmほどの小さなお地蔵様です、のり面に光背と同じ形の穴を掘り、崩落防止の吹きつけを施した後でここに安置したんですね。 でもお地蔵様の足元はゴミでいっぱい。よだれかけもかなり古いです。お顔は、つるんとしているのが特徴か。おお、光背に銘が彫ってあります。

「早世忌玄童女」

ぼ、墓石じゃん! 

さらによだれかけをはぐって(時々クモが飛び出してくるから恐いの)みると、

「宝永六年五月廿三日」

ほ、宝永?! あの「富士山 宝永の大噴火」の宝永でしょうか。 とすると宝永5年は1708年のはず。これは古いです。約300年前の物ですもん。私が知っている路傍のお地蔵様の中では、小鍋峠のお地蔵様と同じ年代ですね。 なぜそんなに古いお地蔵様がここに…。しかも童女のお墓とは…。 よくぞまあ、自然災害や道路工事にも失われることなくこれまで保存されたものです。 こうした子どものお墓を見ますと、(旅の途中でなくなったのだろうか…。それともこの近くの家の子か…。「早世」という文字に親の悔やみきれない思いが込められているなあ。)などといつも思ってしまいます。 うーん…。 しばし考え込んでしまいました。


       約300年前のお顔です 柔和な表情ですね

 さてさて、今回の吉佐美探訪四部作はこれでお終いです。 最後までお付き合いしてくださり、ありがとうございました。
夏はこれから。次はどこを訪ねましょうか。

                                             
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