葉

上藤原峠
2000年12月26日探索

   
 
 相玉から藤原山方面へ向かう道筋は、いくつかあります。今回は、下田セントラルホテルの前から藤原山の裏側(南側)を通って蓮台寺に抜ける、上藤原峠を探訪してきました。 10月に地元の人に聞いた話によりますと、相玉〜蓮台時間の道では、この道が一番荒れているそうです。ちょっと不安ですが、冬でないと探索は難しいので、行くことにしました。
 
 入り口は、下田セントラルホテルの前です。南側に、従業員用の駐車場があります。その入り口から山に入る車道があります。

hotelumae
   この看板の向こうから左に入ります

 路傍に、2つの道標があります。一つは大正時代に立てられた石のそれ。もう一つは今風のそれです。

大正時代の道標道標全景
    
左奥に登る道を入ります                  古い道標です

オレンジ色のカーブミラーの支柱の根本に、石製の道標があります。表に「蓮台寺近道△△…」と彫ってあります。こんなりっぽけな道標が、よくぞ道路工事の時にも捨てられずに残されたものです。(工事の責任者に感謝!って誰に?)

 登り初めてしばらくは、コンクリート舗装のされた道を歩きます。この奥に、墓地と温泉の源泉があるのです。登り始めてすぐの右手にもう一つの古い道標があると、資料に書かれています。これがその道標でしょうか。表面の風化が激しく、文字が判読できません。

もう一つの古い道標
  高さは50pほどです 道標でしょうか

 さらに行くと、左に祈念碑と石塔とお地蔵様が
あります。お地蔵様には、昭和元年に立てたと
彫ってあります。
石塔と地蔵様

 さらに進みますと、右手の路傍に小さな石柱があります。雰囲気からすると馬頭観音かとも思われますが、表面が剥落していますので、不明です。右側面に、明治○○年…と読むことが出来ます。

馬頭観音でしょうか
    馬頭観音でしょうか…

 さて、道を進みましょう。しばらく行くと温泉の源泉の施設があり、やがて車では行けないところまで到達します。そこからが山道の始まりです。左手下には、杉林の中に山田の跡が見られます。
 ここで、温泉の施設の管理をしているらしき男性と出会いました。その人の話によると、昔は大沢からこの辺りの田んぼに仕事をしに来ていた人がいたそうで、盛んに道には往来があったそうです。しかし今は道普請をしないしほとんど通る人はもいないので、道は荒れているでしょう…、とのことでした。

山道1
初めはこんな様子で、道ははっきりしています。辺りは鬱蒼とした杉林で、昼なお暗く、淋しいところです。


 突き当たったら左に進みます
 
 進むうちに道は徐々に荒れてきて、石や倒木が目立つようになります。そのうち沢を歩くような形になり、道筋が怪しくなってきます。
  しばらく沢を歩いた後、左に抜けて、草の生い茂る道や山田の跡を歩くことになります。この辺りは峠までの中間地点にあたりますが、ほとんど道が消えており、歩くのに難儀します。わたしはここへ来る前に蓮台寺側から登ってきていたので道が分かりましたが、相玉側から初めて登っていたとしたら、道が分からず引き返していたかもしれません。およそ洞の左側をたどっていくと、やがて道筋が現れます。この辺りは、杉林の木々がこすれて「ギギー…」と音を立てたり「ザワザワザワ…」と葉が風に揺すられて音を出したりと、不気味であります。

やっと道に
      やっと道筋に戻りました

 山田跡のぬかるみに足を取られながらも進むと、やがて再び道筋が現れ、ほっとしました。徐々に坂はきつくなり、また、つづら折れのようになって斜面を登っていきます。いよいよ峠道…、という感じです。

 やがて少しずつ前が明るくなってきます。この坂を登り詰めれば、峠があるのでしょうか。期待が高まります。そして、ああ、峠に出ました。ここが上藤原峠です。

上藤原峠
          ようやく着いた上藤原峠

 
峠には、お地蔵様のような石造物は見あたりませんでした。右手に、下大沢に通じると思われる道が延びていました。

下大沢への道
   
下大沢へ通じる道と思われます

 相玉から登り始めて、ここまでで30分ほど掛かっています。かなり長い道のりです。

 下りは、やはり荒れてはいますが道は残っています。峠のすぐ下から山田の跡が続いています。こんな所に水が来ていたのでしょうか?

下りの道筋
    右に見える道を進みます

 下りは、山の斜面を右に見て歩くようになります。道の荒れぶりはここも同じで、落石や倒木、地滑りの跡などを乗り越えて下ります。


    道はどこもこんな状態です

途中、孟宗竹の林が道といわず山肌といわず広がっています。竹の勢いというのはすごいものです。

 10分ほど歩いて徐々に下りがきつくなってきますと、藤原峠への分岐に出ます。道標を兼ねたお地蔵様には、ペットボトルの水や「しきび」、それにたくさんの10円玉が供えてありました。

お地蔵様と登り口
    お地蔵様の左を登る道が分かりますか?

林道の始まり
    
林道です ここまで来れば一安心

 
セントラルホテルからここまで来るのに、40分ほどかかっていると思います。

 林道からは、蓮台寺の集落まで歩いて10分ほどで出るでしょう。 温泉街には「湯の花小径」なる散歩道が整備されており、温泉の流れるポケットパークもあります。これで、小さくてもよいので温泉会館があると素晴らしいですね。
 
 帰りは、北高前のバス停からバスに乗ればよろしいと思います。また、歩いて伊豆急蓮台寺に行っても15分ぐらいで着くでしょう。

 
今回の道は非常に荒れていましたので、何とか踏破できたときにはほっと胸をなで下ろしました。それにしても、相玉〜蓮台時間の道は、このまま時間の経過と共に荒れて消えてしまうかもしれません。かといって、通行する人もいない現在、整備される当てもないでしょう。これも時代の流れとは言え、淋しいことです。
                                             
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