葉

藤原峠

相玉から蓮台寺への近道
30年前までは子供も大人も歩いた普通の道
2000年秋探訪

藤原山遠望
   中央の谷筋に沿って登っていくのです
 右奥の高い山が藤原山です


 この道は、稲梓の相玉(荒増)からすぐに山に入って峠を越え、蓮台寺の小川医院の横に出る道です。 江戸時代には盛んに通る人があったそうですが、かのハリスが下田から江戸に出る時に歩いたかは資料がなく、不明のようです。
 この道は蓮台寺の豆陽中学(現下田北高等学校)の北側に出るため、立志を抱いて稲梓から通学する豆陽中学生が通学に使ったそうです。いわば稲梓と日本の未来をつなぐ『学びの道』だった訳ですね.。そのほかにも、当時の小中学生が学校行事で越えたり、買い出しの人々が往来したそうです。現在60歳代後半の方々まではよくこの道を通ったそうです。
 さて、バスで出かける場合は、相玉バス停で下車してください。待合い小屋の隣に短いガードレールがあります。その東側に、峠への入り口があります。そのすぐ西と東にもう2本、いかにも峠に繋がっていそうな道がありますが、それらは違います。ガードレールに隣接しているコンクリートの道を入ってください。
荒増側の入り口
 ガードレールと白い壁の間に、峠に通じる道があります


 
そこを入ると、コンクリートの道が左にのびています

藤原峠への道
  左は供養塔で、右が峠に至る道です

 歩き始めるとまもなく左側に、宝暦4年(1754年)にたてられた供養塔が見えます。残念ながら表がはがれ落ちて文字を読むことはできませんが、右側面に年号等が記されていますので、参考にしてください。そこからは、山道になり、斜面を左に見て歩くようになります。初めは雑木林で、そのうち檜の林になり、やや暗くなってきます。途中、いくつか分かれ道があり、迷いやすいと言えます。二つ三つ、小さな沢も越えます。

峠に至る道1
  沢を越えたら、右に曲がるのです

 徐々に道には大きな石が転がるようになり、荒れが目立ってきます。倒木もありますので、気を付けてください。徐々に坂がきつくなってきますので、踏ん張りどころです。

 倒木があり、歩きにくいです。

 途中、大きな岩が道をふさいでいる箇所があります。どうやら山の斜面が崩れて岩が落ちてきたようです。今は道普請をしないので、取り除かれないのでしょう。頑張って乗り越えるようにして通ってください。ただし、乗り越えるときやたらな木をつかみますと、棘のある木がありますので、よく見てくださいね。(ここには、タラの木がありました。思わずつかんで痛い思いをしました。)

 道はこんな状態です 左上を乗り越えるのがよいようです

 やがて道は沢を登るようにして歩くようになります。道と言うより、沢登りをしているようです。時々、足元を甲羅の青い沢蟹が横切ります。
 徐々に上りもきつくなる頃、前方が明るくなってきます。いよいよ峠も近いです。頑張ってください。相変わらず道は荒れていますが、道が沢から離れて切り通しの様な地形になります。足元は、柔らかい土で、靴が潜り込みます。が、じきに正面が明るく開け、尾根筋に出ます。(この辺りから、稲生沢のお吉が淵に下りる道があるようです。いつか探索してみようと思います。)


  さあ、まもなく尾根に出ます

 尾根に出ますと、伊豆急電車の走る音が聞こえます。淋しいところなので、ほっとします。やがて道は右側から来る松崎側の道と合流します。

下の画像は、峠を過ぎて振り返ったところです。 西(左)に松崎方面につながる道(実は稲梓の相玉に出ます)が見えます。右に見えるのは、この時一緒に行った小学生です。小学生でも歩ける道、ということですね(安心)。




峠付近の画像です 中央付近にお地蔵様があります

 峠を下ると道は切り通しになっています。眺望はほとんど開けません。右側の小高いところに、お地蔵様が2体あります。旅人の安全を祈って置かれたのでしょう。右側のお地蔵様は、光背に大正6年という文字が読めますが、左のお地蔵様は痛みが激しく、お姿がありません。ここまで、登り始めて約30分たっています。

藤原峠の地蔵様
      峠の2体のお地蔵様です

  ここからは、道は下り坂になります。道幅がやや広くなり、歩きやすくはなりますが、倒木や石が目立ち、気を付けないとつまずいてしまいます。水が染み出て滑りやすいところもあります。蜘蛛の巣も張っているので、顔に掛かってびっくりすることがあります。

峠からの下り道

 下り始めて7〜8分で、もう1本の松崎から来る道と合流します。その分岐点に、道標を兼ねたお地蔵様があります。光背に、「みぎ あまぎみち 左 まつざきみち」と掘ってあります。誰かが供えたキャンディーや飲み物が置かれてありました。

藤原峠の道標
   雨よけでしょう、座布団がかぶせてありました

  道はここから林道となります。下ること約15分。途中に,文化5年(1808年)にたてられた題目塔があるそうです(2002年11月にやっと見つけました!後日アップします)。

蓮台寺側への林道
 お地蔵様(道標)の前からは林道となります

 徐々に畑や民家が見えるようになりますと、そこは蓮台寺の集落です。周囲にはお寺や旅館が点在して、道は散策しやすいように美しく舗装されています。かの吉田松陰が隠れた家も公開されていますので、寄ってみるのもよいでしょう。
吉田松陰隠居
   吉田松陰隠居処 茅葺き屋根の建物です

  この辺りは昭和40年代のたたずまいを残した商店などがあり、子供の頃、故郷で買い物かごを下げてお使いに行った思い出が蘇ってきます。懐かしい風景です。

蓮台寺側の入り口
     中央の消火栓の右手に出てきます

  帰りは、近くに「蓮台寺温泉」のバス停がありますので、バスを利用してください。
  この道は、どちらかというと蓮台寺側から入ることをお勧めします。途中まで林道になっているので峠に至りやすく、峠からは分かれ道があってもひたすら下れば稲梓に出るので、安全だからです。
 

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