葉
相玉の古木と『脱腸の神様』を訪ねる
探訪2001年3月 
 3月は、転勤の時期であります。我が職場でも、私を含めて数名が転勤することになったため、有志で『お別れ遠足』に行くことになりました。
 目的地は、相玉の蓮華寺裏にある、椎の古木と『脱腸の神様』です。同じ転勤組のTさんが、わざわざ下見までして連れて行ってくれました。何でもこの古木は、静岡県で五本の指に入る名木だそうで、その木の裏にある『脱腸の神様』も、30年ほど前までは、お参りする人が絶えなかったそうです。

 一番の近道は、蓮華寺の参道から入ります。が、今回は、相玉の庚申堂下の砂防ダムから畑の中の道を歩いて行きました。この砂防ダムの近くには、相玉のサイの神や菖蒲御前の墓があります。これから行く道も、どうやら稲梓の古道のようです。いつか東から西へ、その道程をたどってみたいものです。

 砂防ダムから東へ小さな橋を渡ると、すぐにいくつかの石造物があります。手前の二つは、それぞれ昭和十三年建立の大日如来、水神です。残りは、石祠(由来は不明)とお墓です。



 さて、道はここで民家の庭に入ります。今回はそのお宅の知人が仲間におりましたので良かったのですが、そうでなかったら、通るのは憚られます。仕方がありませんので、お許しを得て通るしかありません。そのお宅を通り過ぎると、すぐにお地蔵様と朽ちた石仏が並んでいます。昔ここはあるお寺の参道だったそうで、そのなごりなのでしょう。

 道はやがてなだらかな丘陵の中を通ります。遠くには、以前登った大平山も見えます。辺りは梅の木が植えられ、春の陽が降り注いで、たいへんのどかな風景を広がっています。こんなところで日向ぼっこをしながら空を仰いで昼寝ができたら最高です。


 4年生の国語教材『あんず林のどろぼう』の話を思い起こさせる風景です

 やがて道は蓮華寺の裏に出ます。ここから山に入っていくのです。



 この道は、庚申堂の東の砂防ダムから入って藤原峠に通じる道に合流する古道と思われます。ここからは少々道がわかりにくいので、気をつけてください。

 墓地の裏手を過ぎて突き当たりましたら、そこは右に進みます。


        ここは右へ…

 次の分岐も、右へ行きます。


       ここも、右へ行きます

 すると、かつて家があったという土地に出ます。朽ちた蔵が一つ残っています。その脇を通り抜け、奥へ入っていきます。


  
 すぐに小さな沢が流れており、奥に竹藪があります。その竹藪へと入っていくのです。蓮華寺からここまで、ほんの数分で到達します。

 竹藪に入ると、右手に驚くような大きな椎の木が、太い幹の上に枝を大きく広げているのが見られます。これがお目当ての椎の古木です。まさに我が目を疑うような巨木です。
        
          驚くような椎の古木です 人物の大きさと比べてください

 幹の周囲には、しめ縄が張ってあります。この木でしたら、誰もが神様が宿っている思ってしまうでしょう。私も、木霊の存在を感じました。用意していった巻き尺で幹の周囲(目通し)を巻き尺で測ってみましたら、なんと10m30cmもありました。

 木の裏に回りますと、小さなお堂があります。その中に、木の祠が安置されています。これが、脱腸の神様です。


         脱腸の神様

 木祠の高さはおよそ50pほどで、傍らにたくさんの弓矢が立てかけてありました。武運長久を祈る神様の意味もあるのでしょうか。全体の姿はまだ新しく、お堂自体はまだ建てられて十数年、といった印象を受けました。

 みんなで感嘆の声を上げながら、15分も枝を見上げていたでしょうか…。職場にあった『静岡県の古木・名木』という本には、この椎の木は載っていません。でも、どこからかこの木の話を聞いて訪ねてくる人もいるそうです。ぜひ、稲梓の子ども達にもこの木の存在を伝えていきたいものです。
                      
                                             
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