葉

伊豆八十八霊場巡礼(下田駅〜正善寺)
巡礼 2008年5月26日   
 
伊豆八十八霊場巡礼三たび
 今日はG藤さん主催の伊豆八十八霊場巡礼に参加する日です。私はこれで3回目の行脚となります。
 ところが、天気予報は、雨…。しかし「雨でも行きます。」のメールをいただいたのが前夜。やはり…。修行の道は、雨も何のそのです。

 午前7時45分。ほぼ予定通り、ご一行の乗ったバスが本郷大橋を渡ってきました。


          富士市を早朝の出発、お疲れさまでーす

 今日の出発地は、伊豆急下田駅です。みなさん、駅構内をちょいと拝借して、皆さんが支度をされます。この天候は、カッパは欠かせないでしょう。私は、カッパ+傘の出で立ちです。しかしホントならさらに長靴を履きたいところです。だけどそれですと歩きにくくなるし。雨天時の装備には困ります。


        駅構内をちょっと拝借して、雨支度

 下田駅の庇を出て雨の中を歩き始めましたが、わずか50m歩いた頃には既に靴の中は浸水し、ぐちゃぐちゃです。ああ、こうなるともう悲惨を通り越し、ただ笑うしかありません。この足でどうやってお寺の本堂に上がり、お経を唱えるというのでしょう。


           ぐえ〜、こんな雨になるとは…

五十二番札所 曹洞院
 大賀茂トンネルを過ぎ、県道を北上します。 と、G藤さんが県道を外れて山道に入りました。



この道は、下見の時に見つけた曹洞院への近道だそうです。 実は私、恥ずかしいことに、曹洞院へはまだ行ったことがなかったのです。ですから、近道も知らなかったというわけです。 しかしこの道は、実は県道が通る前の古道ではないかと思いました。地形や雰囲気が、古道そのものなのです。


     ここが下田の町と大賀茂を繋いでいた道ではないでしょうか

 高台に登って平らになる辺りに、曹洞院はありました。なかなか風情のある山門です。



 さて、雨でぐちゃぐちゃに濡れた足で、皆さんはどのようにして本堂に上がり、読経されるのでしょう。私はお堂に上がるのを遠慮しました。とてもそんな足ではありません。やはり同じように、1/3ほどの人たちは本堂の前で読経しました。

和尚さんは法事で出かけており、早々とお暇することにしました。


         殆どの人は本堂に入りませんでした

山門には、両脇をがっちり守るように日本の檜が立っていました。



五十三番札所 宝徳院へ
 次は吉佐美の宝徳院を目指します。この地区は私が3月まで勤めていた職場のあるところです。まだ「懐かしい」というような心境にはなりませぬ。



雨は降ったり止んだりしています。合羽を脱ぎたいのですが、傘を綴じると降り出してくるような状況ですので、しかたなく着たまま歩きます。

 宝徳院に着きました。やはりここでも外で読経します。



 こちらは和尚さんがおられました。本堂の壁には、3月に行われた不動明王のご開帳のようすを写真で展示してありました。  

五十四番札所 田牛の長谷寺へ
 宝徳院を出てからは、すぐそばの八幡神社に寄り、田牛の長谷寺を目指して海岸通りを歩きます。

吉佐美大浜の海はこの天候で荒れていましたが、少なからぬサーファーが波を待っています。G藤さんは大変驚いていました。


         荒れています 大荒れと言っていいでしょう

 碁石が浜では、碁石のように小さく黒い石を拾うことができます。かつてはこの地に辿り着いた鎌倉武士がその石を拾い、余暇に碁を打ったとか…。機会があったらみなさんにも拾っていただきたいものです。

サンドスキー場と竜宮洞
 田牛は、サンドスキーがよく知られています。参加者の皆さんが見たいと仰るので、少し浜に下りてみました。
 すると、たまたま通りかかったおじさんがガイドを申し出てくださり、サンドスキー場やとなりの竜宮洞の案内をしてくださいました。きっと下田のボランティアガイドの方でしょう。これなら下田の観光も大丈夫だな、と心強く思いました。ありがとうございます、○○さん(←お名前を伺いそびれました。ごめんなさい。)  


     ならいの風に吹き上げられて斜面の砂が保持されるそうです

こちらが海蝕洞の“竜宮洞”です。テレビのサスペンス劇場などの撮影場所になることがあります。





  “いきなりボランティアガイド”の某氏の説明を聞きます

 海岸通りから田牛の集落に入り、長谷寺にやってきました。



 長谷寺は、その昔海に流れ着いたという如来様をご本尊とします。平泉に運ばれる途中で船から落ちてここに安置されたという話が伝わっているそうです。もとは金色に輝くお体をされていたそうで、元々は国宝、現在でも重要文化財に指定されています。

ここでは読経の後で昼食をとることになっています。みなさん、そのことがあるからでしょう、濡れた足で本堂に上がっています。そこには濡れた足跡が…。ご婦人方は「(濡れた靴下で)床磨きだね〜。」と仰っています。おちゃめ!



 私も、しかたがないので靴下を脱いで上がりました。しかし出発する時には、これをまた履くのでしょうね。いやだ〜。もちろん替えの靴下は持っていますが、靴がぐちょぐちょなので、靴下だけ履き替えても意味ないんです。

 読経の後で昼食にしました。今回もやはり持ち寄りおかずや手作り菓子の交換会が行われました。皆さん、余暇を楽しむ術を身につけているようで、羨ましくなりました。


              いつもごちそうさまです

 やがて所用から戻られた和尚さんが来られて、灯りをつけ、ご本尊の如来様の説明をしてくださいました。


              神々しいお姿であります

今日のニャン
 長谷寺を出て歩き始めた時、どこからかかわいいニャンが出てきました。人に慣れていて、呼ぶと返事をします。



ついてこようとするので、(連れて帰らなくちゃダメかな?)と思いましたが、首輪をしているし、とても無理です。


               美し横顔ですニャン

後ろ髪を引かれる思いで振り切って歩くことにしました。後でS沢さんご夫妻がいい子いい子していましたが、連れて帰りたくならなかったのかニャ。

田牛のサイの神
 宮の下に、サイの神さまがあります。2つある祠の屋根がどちらも90度横を向いているのですが、そのままにしておきました。いつか直さないといけませんね。


             道から見上げるような所にあります

タライ岬遊歩道
 田牛から南伊豆の湊までは、タライ岬遊歩道を歩きます。私はここも歩くのが初めてなので(私は歩いていない道がまだあちこちにあるんです)、わくわくして歩道に入りました。  

  民宿「硫黄島」を奥に入り、素堀りトンネルをくぐります。ペンションや別荘を左右に見ながら、車がようやく1台通れるほどの車道を歩いていくと、やがて歩道に入りました。


      田牛周辺にはこうした素堀の小さなトンネルが4つあります



 かなり奥まで舗装された道が続いています。

 そのうち、海がよく見えるところに出ました。ここももしかしたら、田牛と湊を結ぶ古道ではなかったのでしょうか。だって、案内図を見ると、途中に石仏や馬頭観音がある、と書いてあるのです。

遠国島見ゆ
 遭難の碑 遊歩道に入って10分ほど歩くと、左に険しい磯が見えました。ひときわ大きな岩が、祭祀遺跡があることで知られる遠国島(おんごくじま)でしょう。



ふと見ると、何やら石碑があります。何やら日章旗が描いてありますが、これは…。



 峠のような所を越え、しばらく行くと、石柱が立っていました。皆さんは気にも留めないように歩いていくので、私だけちょっと立ち止まって写真を撮りました。



 するとそれには「馬頭観世音」と「南無大日如来」と彫ってあります。ということは、この道を牛馬が往来したのでしょう。かなり傾斜のある道なのですが、下田と南伊豆を結んだ海沿いの道として利用されていたのかもしれません。



 遊歩道に入って30分ほど歩いたころ、目の前に浜が広がりました。これが湊の逢が浜でしょう。なるほど近くの小学校が遠足でやってくるだけあって、遊ぶのに良さそうな遠浅の磯です。



振り返って見ると、こんな奇岩がそそり立っていました。


            む、向こう側が見えてる・・・

今日のニャン2
 と、私たち一行の前を懸命に走って横切る白い影が! 見ると、かわいいニャンでした。ノラかなあ、何を食べて生きているのでしょう。外ネコのつらさは十分に分かります。長生きしてほしいものです。


            このニャンも可愛いです〜

弓ヶ浜到着
 山道から出ると、目の前に弓ヶ浜の白砂青松が見えました。G藤さんは海がお好きのようで、こうした砂浜があると必ず皆さんを引き連れて歩きます。いえ、案内役ですから…。



五十五番札所 修福寺
 共立湊病院裏にある修福寺に来ました。こことその次の次に訪ねる正善寺は、4年ほど前、南伊豆教育委員会が原H三郎先生を講師に迎えて主催した歴史巡りに参加した折、見学に来たことがあります。修福寺では、貴重なお経を所蔵しているそうです。


           修福寺の境内に着きました

しかし法事に訪れたご家族がおられたので、早々と読経と記帳を済ませ、出発します。


                急げ、急げ〜

五十七番札所 青龍寺へ
 ようやく雨が上がり、道も乾き始めてきました。青野川を渡り、手石に入ります。 

 次なるお寺は、青龍寺です。
 山門までの参道は、梅林の中を通ります。梅、そろそろ実る季節ですね。今年も梅干しと梅ジュースを作りましょう。自分の梅の木もほしいところです。夢は実現するかな…。


          ここに来るのは初めて、の青龍寺です

きれいに手入れがされた境内は美しく、雨上がりの陽光を受けて輝いています。



 読経の後で、留守番役の近所の人がお茶を入れてくれました。まだ足は濡れていて気持ちが悪いのですが、お茶のよい香りに癒されました。


        般若心経を唱え終えたところで深々と礼をします


             新茶を戴き、一服します

 境内にはいろいろな石像物があります。このお寺で私が関心を持ったのは、これです。庚申塔なのですが、三猿が面白く彫られています。今風の像ですね。どんな人が寄進したのでしょうか。


          常夜灯の根元に今風の三猿が


     皆さんで記念写真を

五十六番札所 正善寺
 本日最後に訪ねるお寺は、正善寺です。参道には、三十三観音が並んでいます。
(しかし何だか参道も境内も荒れているなあ)と思っていましたら、ここは現在、無住のお寺になっているそうです。 本堂の中には、アリの行列ができていました。私たちより先にアリさん達が訪れているとは…。もの悲しさを禁じ得ませんでした。


        木々に囲まれた参道 傍らには三十三観音が


       
 こちらのお寺には、珍しい仏像が安置してあります。なにが珍しいかといいますと、この印です。指をまるで花びらのように柔らかく合わせるようにして印を結んでいます。何という印で、どんな意味があるのでしたっけ…。4年前に聞いたはずですが、まったく忘れています。ダメな私。






いよいよ本日のお楽しみへ
 午後3時過ぎ、青野川の河畔でバスに乗ります。そして今日の疲れを癒すため、温泉会館「銀の湯」へ向かいました。おっと、途中のコンビニで飲み物を買うのを忘れずに。銀の湯会館では、ソフトドリンクしか売っていないからです。

 銀の湯会館は、下田市民なら入館料が半額の500円です。南伊豆町と下田市が提携しているからです。汚れた体をきれいにして、思いっきり長くお湯につかりました。といっても、いつも烏の行水の私ですから、10分もお湯にはつかっていられませんけど。

 さてここで、G藤さんたちと一杯酌み交わします。今回は、一昨年、仁科鉱山を探索している時に重郎左右衛門から下山してきて少しだけ一緒に歩いた、裾野のI上氏とも言葉を交わしました。
 若くて美しいと評判のS沢さんの奥様、もう25になるお子さんがいらっしゃると聞いて、びっくり。もし一緒に歩いたとしたら、親子でなくて姉弟と思われるでしょうね。

 帰りは、またあの橋のたもとで降ろしていただきました。ああ、楽しかった。


      この一本がたまらなくイイ!

 しかしこの巡礼、やがて南伊豆から西伊豆へとコースが移動していきます。私が参加できるのはあと何回あるでしょうか。6月も参加したいのですが…。
                                             
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